理想と現実がかけ離れているとき、どう生きていくか|映画「人生フルーツ」を見てきた
先週末、ずっと見たかった映画「人生フルーツ」を見てきました。
私がこの映画を見たかった理由は2つ。
1つは、ジブリの鈴木さんのポッドキャストや、隠居系男子の鳥井さんのブログを読んで面白そうだと思ったから。
鈴木敏夫のジブリ汗まみれ - TOKYO FM 80.0 - 鈴木敏夫
そしてもう1つは、とても個人的な理由。
作品解説から少し引用します。
かつて日本住宅公団のエースだった修一さんは、阿佐ヶ谷住宅や多摩平団地などの都市計画に携わってきました。1960年代、風の通り道となる雑木林を残し、自然との共生を目指したニュータウンを計画。けれど、経済優先の時代はそれを許さず、完成したのは理想とはほど遠い無機質な大規模団地。修一さんは、それまでの仕事から距離を置き、自ら手がけたニュータウンに土地を買い、家を建て、雑木林を育てはじめましたーー。あれから50年、ふたりはコツコツ、ゆっくりと時をためてきました。そして、90歳になった修一さんに新たな仕事の依頼がやってきます。
私たち夫婦は以前、自然環境を守る活動を主体とした公益財団法人に勤務していました。
働く中で、作品解説にある様な開発に反対したり、開発する場合でもできる限り自然に対するインパクトを少なくすることを提案したりしていたのですが、経済優先の社会の中で、「自然を守る」という目的の達成がいかに難しいかということを日々痛切に感じていました。
社会をこうしたい!って考えた時に、戦い方は2つあると思います。
1つは組織に所属して社会を変えていくこと。
こちらの場合、規模もあることでそれなりの力が発揮できると思います。
そして仲間もいる。一方で、組織と考えが合わなくなったり、組織の中で異なる意見に出合ったりした時には、調整することにエネルギーを注がなくてはなりません。
もう1つは、例え時間がかかってもこっちの方が楽しくない?という小さな現実をコツコツとつくっていくこと。
主人公の修一さんと英子さん夫婦は後者の道を選びました。
私たち夫婦も、こちらの道なき道を歩いている途中(勝手にそう思ってるw)なので、お2人はどのように道を歩み、時を積み重ねてきたのかを知りたかったのです。
感想:自分でやってみることの大切さ
ていねいな暮らしとは何か?
相手を説得すること。
社会を説得すること。
などなど、いろんな考えが頭を巡ってまだ整理できていないのですが、一番心に残っているのは、「自分でやってみることの大切さ」です。
私たちは高度に分業化された社会に生きていて、都市部に向かえば向かうほどその傾向は顕著です。(田舎には、1人何役もこなすスーパーマンや何でもつくれるおっちゃんやおばちゃんがあっちにもこっちにもいるけど・・・)
医療でも行政でも学問でも、分業すれば深く専門的な仕事ができます(縦割りとも言う)。
その一方で、全体が見えなくなっちゃてるのが「今」なんじゃないかと思うのです。
それは自分でできること、やってみたことの範囲が少ないからではないでしょうか?
.自分でやってみると何が大変かが分かり、全体も見えてくる。
全体を考えた上で、目の前の仕事と向き合えれば成果も変わってくる。
そして何よりも、他者の仕事に敬意を払えると思うのです。
野菜を育てたり、DIYで何かをつくってみたり、介護を手伝ってみたりすることでもいい。
修一さんや英子さんのように、「自分でやってみるという生き方」を選んでみてもいい。
お金を払ったら他の人にやってもらえることが多い時代だからこそ、あえて自分でやってみることって大切だなあと。
そこから、自分に合った仕事や生き方が見えてくるのかもしれません。
おすすめの映画です。
【感想余談①】
それにしても、映画に出てくるごはんがどれも美味しそうで、長生きしてたくさんおいしいものを食べたい!と心底思いました~。
【感想余談②】
中国語のタイトルは、「積存時間的生活」。なかなか直球で、おもしろいなあ。