かとう家の小ばなし

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【読書めも】教育における多様性の大切さ/茶色のシマウマ、世界を変えるを読んで

 

ヨメです。

久々に紙の本を読みました。そして多分はじめてamazonで本を予約しました。

というのは、知人が勤めているISAKという軽井沢にできた全寮制のインターナショナルスクールとその学校をつくった小林りんさんにとても興味があったからです。

 

Facebookのタイムラインでこの本が出版されることを知り、早速予約。

全380ページもあるとても読み応えのある本でしたが、夢中であっという間に読み終えました。

子どもを授かってから、多くの時間を子どもと過ごす中で、「教育」については日々考えることが多いのですが、この本には大きな気づきがたくさんありました。

その中でも、特に心に残ったことを備忘録的に書き記したいと思います。

 

ざっくりとした本の紹介

高校を中退してカナダのピアソン・カレッジに入学→東京大学モルガンスタンレー→インターネット系ベンチャー企業 ラクーン→国際協力銀行JBIC)→スタンフォード大学修士ユニセフ勤務

 

この本はそんなエリート街道まっしぐらだったりんさんが、自らの経験から「貧困を根本的になくすためにはリーダー(チェンジメーカー)が必要だ」という考えに辿りつき、約6年かけて実際の学校をつくるまでの物語です。

 

教育における多様性の大切さ

これがこの本の中で一番心に残ったことです。

ISAKは、世界中のどんな経済状態の子にも開かれている学校で、実際、15の国と地域の49名の生徒が一期生として入学しています。

そのISAK開校の前段階で行われた、サマースクールでのエピソードがとても印象的でした。

サマースクールのプログラムの1つにあるカントリー・プレゼンテーションでは、自分が親近感をもっている国、地域、あるいは文化を紹介します。(”自分の国”としないのは、国際社会から国家と認められていない地域、あるいは難民キャンプから参加する子どもたちがいるため)

 

参加者であるインドのチベット難民キャンプから来た子が、中国政府の圧政に抵抗して、チベット僧が焼身自殺をした時の映像をYoutubeから検索してみんなに見せ、それからチベットの歴史の話をした時のこと。

その話が終わると、中国の名門校から来ていた男の子が、「あれが中国のせいだなんて、そんなの嘘だ。僕が学んできたことはそうじゃない。」と涙を流しながら反論したのだそう。そもそもその子の中では、チベットは存在しないことになっていたから。

心が揺さぶられたのはこの後のこと。

そのチベットの子と中国の子が、部屋の隅で二人で話し始めたんです。まずチベットの子が、謝っていました。自分の話し方が悪かったかもしれないと。中国人がいることに対して、自分は配慮が足りなかった。「ごめんなさい」って。で、彼が言ってたのは、僕たちが要求しているのは、独立ではないんだよと。ただ、宗教の自由と、言論の自由だけだという話を一所懸命拙い英語でしていました。中国の子は、中国の歴史や政治について自分は今迄疑った事がなかったと言っていた。だけど、「今日はじめて、何が真実がわからないということがわかった。少なくとも自分が教わったことがすべてじゃないことを知った」って涙を拭きながら。そうやって就寝時間を過ぎるまで、二人はずっと話し合っていたんです。

 

こういった環境で学ぶ子どもたちを見ていると、より影響を受けているのは平和な日本で暮らしている子供たち。

 もう1つ、りんさんと一緒に学校をつくってきた投資家の谷家さんのエピソードが印象的でした。

自分たちの子どもをインターナショナルスクールに通わせている中で、いいところもたくさんあるけど、決定的に欠けているところがある。それが「多様性」。

いろんな国籍の子どもたちが集まってはいるけれど、民族は違っても生活水準が同じなため、人間の中身がだいたい同じ。

そのことは、実は成功に最も大切なハングリー精神やモチベーションを持ち合わせていないということでもあります。

グローバル化やAIの発達による仕事の自動化など、社会環境がすさまじい勢いで変化していくなかで、真の生きる力を身につけるために親としてできることは何かと深く考えさせられました。

 

環境が変わっても自然体で生きていくこと

学校の設立という大仕事を現実化していく途中に、りんさんは2人のお子さんを出産されています。特にはじめてのお子さんの時には、大きなお腹を抱えながら、また出産後には6ヶ月の息子さんを抱えながら、海外の全寮制インターナショナルスクールの視察に出かけられています。

女性は結婚、出産などのタイミング、キャリアについて考える・悩む機会が多いように思います。りんさんも悩まれたこともあると思いますが、夢に向かって自然体で取り組んでいく姿にこうありたいなあと思いました。

結婚したから、母になったからといって、何かをあきらめるわけではなく、ペースは落ちるかもしれないけど、少しずつでも目標に近づくことができればいい。何より、目標を持ち続け、そこに向かって努力していくことが大切だなと感じました。

 

長くなってしまいましたが、教育・女性の働き方・社会企業家というキーワードに興味のある方には特におすすめの本です!

 

 この本の中にも登場する中室さんの本もおすすめ。