道具よりもいれものを
森のようちえんの目的の1つに、「子どもの自主性を尊重し、見守ること」、というものがあります。
最近ますますこの「自主性」、「見守ること」が大切だなあと感じているので、思考の整理もかねてまとめてみたいと思います。
人間にしかできないことって何?
先日目にしたこちらのツイートから、これからはますます「問い」が大切になるんだなとぼんやり考えていました。
こないだ福岡で家入一真さんと対談した時に「IT技術が発達して限界費用ゼロの社会が到来したら、社会に必要なのは『課題解決』ではなく『問い』になる」という話をしました。これはドミニクさんが言っている「謎」と同じような事だと思っています。「わからないこと」が好奇心と社会を動かす。
— 小倉ヒラク (@o_hiraku) 2017年7月6日
また先月末には、みずほ銀行がAIによって業務を効率化し、1万9千人分の業務量削減を目指すことが報じられ、話題になっていました。
機械でもできる仕事はAI化されていく未来が、想定より早いスピードでやってきているような気がする・・・・という肌感覚です。
みずほFG、1万9千人削減へ ロボットやAI活用 約800カ所店舗統廃合 - 産経ニュース
こうした波は、いずれ地方へもやってくる。
AIについては、「人間の仕事が奪われる」というネガティブな側面で語られることも多いのですが、原則、人にとって役立つものだと考えています。
長時間労働が無くなったり、廃炉ビジネスで大きな役割を果たしたり、病気の特定にかかる時間を短縮したりとか。
人工知能 病名突き止め患者の命救う 国内初か | NHK「かぶん」ブログ:NHK
じゃあ、人間にできることって何か?と考えると、やっぱり問いをつくることだと思うんです。
本当に解くべき問いをつくって、社会をより良くしていくこと。
問いをつくった後の、課題のたて方や解決方法は、AIと並走できる。
でも、解くべき問いをつくることはまだまだ人の得意分野だと考えています。
自分自身の「なぜ?」を大切にしてほしい
一方で、私たちが社会に出るまでに、「自分だけの問いをつくり、それを解く機会」って十分に与えられているでしょうか?
実はそんなに多くないと思うんです。
自ら立てた「問い」を最後までやり抜く過程まで含めると、ますます機会は少ない。
だからこそ、スキルを詰め込むのではなく、スキルを入れるいれもの育てたい。
こちらから与えるのではなく、「なぜ?」、「なんで?」と考える機会を大切に、生きていくための根っこを育てたいと考えています。
今の学校教育では基本的に、課題や問いを解くためのスキル(道具)の習得に比重がおかれています。
でも、社会に出て生きていくことって、自分だけの問いをつくり(=就職)、それを解いていくことなんですよね。適切な問いがあって、はじめてスキルが活きてくる。
洗濯ものが増えたり、自分の用事が片付かなかったり、仕事の途中で手をとめなきゃならないことも多いけれど、できる範囲で見守っていきたいと思います。