かとう家の小ばなし

愛媛県西予市に移住し、地域おこし協力隊として働く旦那とその家族の日常を、嫁ときどき旦那の目線で綴ります。

「田舎には自然がたくさんある」という前提が崩れる日は、そう遠くないかもしれない

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田舎には自然がたくさんあるー。

きっと多くの人が、おそらくそう考えていると思います。

でもそんな状況がこれからもずっと続くのだろうか?

正直、私は疑問に思っています。


今住んでいるまちでは、風力発電を目的とした、結構な数の風車建設が予定も含めて進んでいます。

また、少し出かけると、道ばた、高速道路脇にソーラーパネルを見つけることが多くなってきました。同じ県内の新居浜市では、メガソーラー計画が持ち上がっており、「里山」が開発の危機にさらされています。(開発側から見れば、チャンスなのですが・・・。)

 

今日は、「田舎には自然がたくさんある」という前提について、個人的に危惧していることを綴っていきたいと思います。

 

東京の田んぼは豊かだった

突然ですが、みなさんは、東京にも田んぼがあることをご存知でしょうか?
東京といえども多摩エリアなどの郊外まで足をのばすと、まとまった数の田んぼを見つけることができます。私が大学院生活をおくった府中市でも、中心地からそう遠くない距離に田んぼが広がっていました。

 

当時、私は田んぼとその周辺の水路に生息する淡水魚(ドジョウとか)の研究をしており、大学のある府中市から隣の日野市の田んぼまで、ほぼ毎日通っていました。

驚くことに研究対象の田んぼ回りには、ドジョウやフナをはじめとするおよそ10数種類の淡水魚が生息していました。

 

私が学生だった当時、多摩エリアにはこういった生きものの多様性に富んだ田んぼがそこそこありました(今でも残っているところもあります)。東京というと大都市!開発!というイメージが先行しがちですが、特にベッドタウンエリアで大規模開発を運良くまぬがれた地域では、環境の良い田んぼが点々と残っていたのです。

 

田舎で進んだ圃場整備、便利さと代償と

一方で、これまで農村部では大規模な圃場整備が行われてきました。
大型機械を導入し、お米を効率よくつくるためです。多くの水路がコンクリート製に置き換わり、水はけを良くするため、田んぼと排水路には大きな落差が設けられた結果、田んぼを主な産卵場にしていた淡水魚は田んぼを利用できなくなり、その数が激減してしまったところもあります。


残念なことに私の故郷である山口では、ドジョウでさえも絶滅の恐れのある種として県のレッドデータブックに掲載されているんです。

 

1つ断っておくと、農業土木を学んできた私としては、圃場整備を否定するつもりは全くありません。
そもそも農業土木自体が、農業の効率化を研究する応用学問なのですから。時代の要請を受けて、農家の高齢化も進んでいる中で効率の良い農業を進めていくことは必要だと考えています。

ただ、もう少し環境に与えるインパクトを少なくすることはできなかったのかな?という想いはあります。私はそんな想いを抱えながら、もし圃場整備されることになったとしても、用・排水路との落差があまりない、生きものが自由に行き来できる田んぼと土の水路がどれくらい残ったら、田んぼを利用する淡水魚に与えるインパクトは少なくなるのか?という研究をしていました。

 

(これ以上研究のことについて綴るとかなりマニアックになるので、気になる方はこっそり聞いてください^^;)

先輩がまとめてくれた報告ですが、ご興味ある方はどうぞ↓

http://soil.en.a.u-tokyo.ac.jp/jsidre/search/PDFs/07/07S16-03.pdf

 

今、自然がたくさんあるのは、自然を守ってくれてた人たちがいたということ

これまで紹介した経験から、これからは自分たちが主体的に動かないと「田舎には自然がたくさんある」という前提はガラガラと崩れてしまう可能性が高いと考えています。

 

しかし、「自然を守ることはいいことだ」という共通認識はあるものの、未だに経済成長が最優先事項として位置づけられており、自然を守ることは容易ではありません。

自然が提供している様々な働きを、お金に換算して経済的な観点からその重要性をアピールする試みも行われていますが、一般にはあまり知られていないようです。

環境省_湿地が有する経済的な価値の評価結果について

 

 正直、存在価値をお金に換算しないと環境を守れない時代になってしまったのか思うと、本当に悲しい。

私は少し前まで研究員として環境を守る仕事をしていましたが、入社してすぐの頃、先輩に言われたひとことが今も心に残っています。

「今あるいい環境は、これからどんどん減っていくよ。だから、自分の目で見ておくことがとても大事。そうしないと、なくなってしまった後に重要性に気づいて、その環境を復元しようと思っても、それすらできなくなっちゃうよ。」

その言葉を胸に、これまで森や川、干潟や草原までいろんな環境を実際に自分の目で見に行ってきたし、これからもそんな場所へ出かけていきたいなあと考えています。


じゃあ、自分に何ができるのか?と考えると、まずは、環境に負荷を与えない暮らしを実践していくこと。そして何より数十年という長いスパンで、何が本当に大切なのかをちゃんと自分の頭で考えられる子育てをすることだと考えています。

 

 なかなか険しい道のりではありますが、そんな想いでノヤマカンパニーとして前向きに活動していきたいと思います!