効率と手間、豊かさはコスパで測れない
最近はっとした記事。
出産してから普段生活する上で、ついついコスパを意識することが多くなっている気がしています。
これまで自由に使えた時間の大部分を子育てに費やす中で、これとこれをこの順番でやって、これは明日これと一緒にやったら効率いいかなとか。午前中いっぱい遊んだら、午後いっぱい寝てくれるかなとか。
でも、そうやって計画をたててやっても、計画どおりになることってほとんどありません。
最大限有効に時間を使いたいから考えてみるけれど、結局、想いどおりにいかないことに対してストレスをためてしまい、そもそもコスパどころじゃなくなって本末転倒な状況に陥ったりします。
一方で、予定どおりに物事がすすむとすごい達成感を味わえるんだけど、でも、それが毎回だとどうだろうかとも思う。想定内のことしか起こらない状況ってどうなんだろうと。
もちろん、仕事であれば計画どおりにマネジメントをするのは大前提。だけど、計画どおりのこと以外全く起こらない、先の展開がわかっている状況は本当に面白いのだろうか。また、いつも先のことばかり考えている状況を、負担に感じることもあるし。
このバランスはとてもむずかしい。
そういえばこの感じ。何かに似てないか、と考えて浮かんできたのはこの本。
少し読み返してみる。
「いちどに道路ぜんぶのことを考えてはいかん、わかるかな? つぎの一歩のことだけ、つぎのひと呼吸のことだけ、つぎのひと掃きのことだけを考えるんだ。いつもただつぎのことだけをな。」
また一休みして、考えこみ、それから、
「するとたのしくなってくる。これがだいじなんだな、たのしければ、仕事がうまくはかどる。こういうふうにやらにゃあだめなんだ。」ー(中略)ー
「ひょっと気がついたときには、一歩一歩すすんできた道路が全部おわっとる。どうやってやりとげたかは、じぶんでもわからんし、息もきれてない。」
あぁ私、まさに一度にせんぶのことを考えている状況だ。
次の一歩のことだけにほとんど集中できておらず、常に数歩先を考えてしまってる。
時間をどう捻出するかというより、今のこの時間をどう有意義に過ごすかに集中すれば良かったのか。今日の夕方とか寝る前にどう有意義な時間を過ごすか?ではなくて、大切なのは”今”。
こんなふうに子育てができるといいんだけどな。でも、気づけて少し気持ちがラクになった。
時間をはかるにはカレンダーや時計がありますが、はかってみたところであまり意味はありません。というのは、だれでも知っているとおり、その時間にどんなことがあったかによって、わずか一時間でも永遠の長さに感じられることもあれば、ほんの一瞬と思えることもあるからです。
なぜなら時間とは、生きるということ、そのものだからです。そして人のいのちは心を住みかとしているからです。
ちまたには時短術なる情報が溢れているけれど、時短した先に手に入れたいものは人それぞれで 、その答えは自分にしか見つけられない。誰も教えてくれないのだ。
友人に、日々の暮らしを心から楽しんでいる子がいる。
豊かさがにじみでているような子だ。
だから彼女に会って話す時間はとても楽しく、話しても話しても味わい深い昆布のダシみたいに、面白い話が出てきて、時間も雰囲気も満たされる。
きっとそれは、彼女が本当に大切な”生きる”ということを理解して、体現しているからなんだなと、思った。そしてその姿勢は人にも伝わり、幸せを伝播させるようだ。
コスパを考えない人生。それこそが本当に豊かな人生じゃないだろうか。
興味をもったら、やりたいと思ったら、あまりコスパは考えずにまずはやってみよう。
少なくとも私は、そんな人生をおくりたいなと思った。