わらぐろづくりに行ってきた!宇和の歴史的な景観づくり。@愛媛県西予市
週末はビッグイベント、わらぐろづくり体験に行ってきました!
「わらぐろ」は、脱穀した後のわらを田んぼに積み上げたもので、
わら細工や牛のエサなどに使用するわらを保管しておくために作られるもの。
運搬・移動させると場所もかさばって非効率なため、現地で積み上げて
保管する生活の智恵なんです。
動力式の脱穀機が普及するにつれてだんだん作られなくなり、
今は「宇和わらぐろの会」が中心にその文化を伝える活動をしています。
本日は、御年79歳の先生方から作り方を伝授して頂きました。
わらぐろのつくり方
①杭(ナル)を立てる
これが一番難しく、かつ重要な作業なんだそう。
杭は人力で地中に埋め込みます。ちなみに、我々が到着した時点で
杭は立てられていたので、今回は次の工程からスタートしました。
②杭の周りに、円状に藁をしいていく
穂先を中心部に向けて、片足でしっかりと踏みつけ(固定し)ながら、
円状に藁を敷いていきます。中心部をしっかり固定しながら、外側の藁も
しっかり踏み固めていくことで、水が中にしみ込まなくなります。
しみ込んでしまうと腐ってしまうこともあるので、タブーなんです。
しばらくこの作業の繰り返し。
この高さまでくると、旦那はかなりぐらついていました。
③屋根の部分をつくる
ここはさすがに名人、岡本さんにバトンタッチ。
庇(ひさし)の部分はそれまでとは逆に、穂先を外側に向けて円状に藁を
置いていきます。
そして庇より上は下段と同じく穂先を内側に向けて
円状に置いていきます。
④屋根のてっぺんの部分をつくる
最後に杭の部分を隠すように、藁を沿わせててっぺんの部分をつくっていきます。
ある程度かたちができると紐でしばります。
実はこの部分の藁だけ、黒米の藁なんです。
⑤藁がくずれないように補強する
この地域は、特に冬場、関門海峡から吹いてくる海風が強いので、図のように
縄で固定して 強度を増すそう。
⑥整形する(名人には必要なし!)
手づくりの道具で飛び出た藁を打ち、整形していきます。
さすがA型。余念がないですね↑
完成!!
実ははしごを立てかけて、傾きを修正しているのは秘密です・・・。
作業時間は1時間程度。名人は、話しながらあっという間に1こつくって
しまったのですが、旦那が実際にやっているのをみると、めっちゃ難しそう
でした。
旦那曰く、藁を積むときのポイントは
①腰を低くすること、
②必要以上に足を動かさないこと。
あと、旦那は長靴でやっていましたが、地下足袋の方がやりやすそうでした。
お昼はみんなでお弁当を頂きながら、いろんなことを教えてもらいました。
とってもおいしかった手づくりおはぎ。
わらぐろづくりの全国大会に行ったお話。
さいたまにある近代美術館でわらぐろを作ったお話。
昔はこの宇和盆地一帯にわらぐろがあったそうですが、農業の近代化などにより
わらを保管する必要性が少なくなり、今は数える程・・・。
便利になることはありがたいことではある一方、こういった生活の技術が失われて
いくことは、豊かさとは逆行しているようにも感じてしまいます。
実はわらぐろの会の上甲さんは、わら細工職人さん。
鶴と亀(宇和わらぐろの会さんより引用)
ミニわらぐろ(宇和わらぐろの会さんより引用)
上甲さんの紹介記事↓↓
(こちらの「今、愛媛村から」の活動もすごく魅力的なんです!)
いろんな藁細工を見て、研究してものづくりをされているそう。
藁細工用に、食用の稲とは別の稲を育てているというこだわり。
文化とか伝統を作っていく・守っていくことって、本当にすごいことなんだなと
改めて実感しました。
そしてわらぐろをつくることができるのは、79歳の上甲さんと岡本さんのみ。
我々も微力ながら、自分たちらしく関わっていくことができたらと思います。